意義と使い方
――過去の方法に囚われずに、白紙の状態から考えてみること。――
問題解決や物事に行き詰まったときに、この思考法により新たな道を開く可能性が生まれる。
通常の問題では
問題に対処しようとするとき、過去の経験・知識により進めてゆくことが一般的である。
「この問題にはこうすれば良い」「この問題はこういう原因から起こっている」などのように考えてゆく。
これらの考え方は、問題を構成している要素や枠組みが決まっており、どこに手を打つべきかが解るという前提なのである。
通常の状況における問題については、この経験的方法が相応しいし、また十分でもある。
解決法が見えない問題に当たったとき
しかし、劇的な環境の変化や未知の状況に置かれた時には、従来の経験的な方法では乗り越えられなくなる。
では改善・改良や構成の見直しという方法では、解決目標に繋がらなくなる状況に陥ったときにどうすべきか。
こうした段階においては、ゼロベース思考をすべきである。ゼロベース思考では従来の発想では「出来ない」「無理だ」といっていた前提を取り払ってしまうことである。従来の枠組みを外して、白紙の状態に戻し、ゼロから考えてゆくことである。
白紙から考える方法の例として、次の方法が有効である。
- 「顧客の立場から考える」
自分達の要望・根拠から考えるのではなく、顧客の立場から考えてみる。すると自分達の前提は意味がないことがわかり、顧客の要望に応える基準ができてくる。 - 「ポジティブな考え方をする」
「出来ない」「無理だ」の考えを外して、「どうしたら出来るか」と考え方で進める。
困難を乗り越えて
ゼロベース思考は有効な思考法であるのだが、なかなか取り入れられない面もある。その理由として
- 大きなエネルギーを使う
白紙から考えることは大きなエネルギーを要する。ある意味で、自らの地位・立場も白紙に戻すだけの気力が必要である。 - 成功体験がある
今まで上手く出来てきたのだから、同じ方法で出来るはずだ。大きな成功の経験をしている者ほど、現在の方法を変えたくないものだ。
こうした抵抗はあっても、ゼロベース思考を避けては解決できないと認識すべきだ。そうしなければ、荒波に呑まれ、気が付いたときは何も残っていないと知るしかない。
(この項終わり)